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主要国では日本経済がもっとも厳しい日本銀行が他の主要国に比べてのん気に見えるのは、日本経済の現状が他の主要国に比べて良好だからなのだろうか。 実は、それどころか、日本経済は主要国の中でももっとも厳しい状況にある。
日本の実質成長率はすでにリーマン・ショックが起きる前の2008年4月’6月期にマイナスに陥っており、その後4期連続のマイナスで、09年1月’3月期は年率換算で14・2。 パーセントものマイナスに落ち込んだ。
他の主要国も悪いが、それでもまだ一ケタ台のマイナス成長にとどまっている。 日本のそれはまさに「つるべ落とし」であることが分かる。
IMFやOECDの経済見通しでも、2009年と2010年の予想経済成長率は主要国の中で日本がもっとも低く、2年連続のマイナス(IMFによると、09年マイナス5・8・パーセント、10年マイナス0・2・パーセント)である。 雇用も悪化の一途をたどっており、09年5月の失業率は5・2パーセントに上昇した。
失業者数は1年前よりも77万人増え、347万人に達した。 求人倍率も急激に低下し続け、同月の求人倍率は過去最低の0・44倍であった。

リストラの波は非正社員から正社員に及んできている。 消費者物価の上昇率もリーマン・ショック後から低下傾向を強めていたが、09年3月にはとうとう前年同月比でマイナス0・3・パーセントにまで低下し、デフレ警戒水準に達した。
日銀の伝統的金融政策へのこだわり日銀が欧米、とくに、英米の中央銀行と比べて、金融緩和政策に消極的なのは、経済危機の中にあっても、前例主義に従って、伝統的金融政策にこだわるためである。 伝統的金融政策とは、日銀が短期国債を銀行と売買することによって、無担保翌日物コール・レート(銀行間で、無担保で一営業日の期間、資金を融通しあうときの金利)を変化させる金融政策をいう。
以下では、無担保翌日物コール・レートをオーバーナイト・レートと呼ぶことにする。 日銀は2008年10月末にオーバーナイト・レートの誘導目標を0・5パーセント前後から0・3・パーセント前後に、さらに、08年12月には0・1パーセント前後に引き下げた。
これは伝統的金融政策である。 一方、金融市場の安定確保のための措置として、08年21月と09年3月の2度にわたって、長期国債の買い入れを増額し、月額1・8兆円、年間2・6兆円(08年2月18日までは年間16・8兆円)とした。
日銀は長期的に通貨供給を増やす手段として、従来から、長期国債買い入れを実施してきたから、この程度の買い入れ増額は伝統的金融政策の範囲に入るといってよいであろう。 S日銀総裁も09年3月の長期国債の買い入れを年間21・6兆円に増額した政策決定会合後の総裁記者会見で「さすがにここまで買い入れ金額を増額させると追加的な買い入れ余地は自ずとかなり限定されるとみられます」と述べている。
S総裁がこのように長期国債の買い入れ増額に消極的であるのは、次の理由による。 すなわち、「日銀が大量に長期国債を買い入れることは政府の国債発行による資金調達を日銀が引き受けることになる。
それは日銀の物価安定という目的を逸脱する金融政策である。 日銀がそのような逸脱したことをすれば、金融政策に対する信認が失われるから、かえって長期金利は上昇してしまうであろう。

これまで長期金利が安定していたのは、日本銀行の政策運営が信認されてきたからである」(2009年3月18日総裁記者会見)。 日銀は企業金融の円滑化の支援のために、コマーシャル・ペーパー(以下、CP)と資産担保CP(以下、両者をあわせてCP等という)及び社債の買い入れを導入した。
このように、企業金融支援の金融政策は従来の日銀の金融政策には無かったことで、この点では、S日銀は非伝統的金融政策に踏みこんだといえる。 CP等の買い入れ総額の残高上限は3兆円で、09年3月31日までの時限措置である。
社債買い入れの対象はシングルA格以上、残存期間が1年以内のもので、買い入れ総額の残高上限は一兆円、買い入れ実施の期限は09年9月30日である。 S日銀総裁はCP等と社債の買い入れは「異例の措置である」ことを強調しており、この買い入れ導入に当たって、日銀は次の趣旨の声明を発表している(「企業金融に係る金融商品の買入について」2009年1月22日)。
21に述べた損失発生により日本銀行の財務の健全性が損なわれると、通貨(日銀券)と金融政策への信認が損なわれる恐れが高くなる。 3以上の点を踏まえて、企業金融に係る金融商品の買い入れは慎重でなければならな1日銀がこれらの企業金融に係る金融商品を買い入れることは、個別企業の信用リスクを負担することになる。
CP等や社債の元利金が返済されないという損失(債務不履行による損失)が発生した場合は、日銀の政府への納付金が減ることによって納税者に負担がかかる。 また、買い入れ対象のCPや社債の発行企業の資金調達を有利にすることによって、日銀が市場の資金配分に介入することになる可能性も排除できない。
以上のように、日銀はCP等や社債の買い入れは日銀が信用リスクを取ることを意味するので、本来避けるべき異例の措置であると考えている。 したがって、あくまでも時限的な措置であり、実際の買い入れ額も少額にとどまっている。
CP等と社債の買い入れについては、日銀の買い入れオファーに対して銀行の応札は3割程度しかない。 それは両者の買い入れに対する応札条件が厳しいためである。

例えば、要するに、日銀によるCP等の民間証券の買い入れは、3月期や5月期などの決算における「資金繰りを助ける」以上のものではなく、08年秋口以降の大不況から脱出するための政策ではないのである。 格付けがシングルA以上の残存期間1年以内の社債であれば、市場でいくらでも買い手がつくから、銀行はあえて日銀に売って資金を調達する必要はないのである。
社債買い入れの応札が低調であることを受けて、市場では買い入れ条件の緩和を求める声が高まった。 しかし、S総裁は、社債買い入れは「社債市場における資金仲介機能を日銀自身が大規模に肩代わりしようとすることが目的ではない。
あくまでも必要な場合に、日銀に対して社債を売却できるという安心感を作り出して、それを通じて社債市場の機能改善を後押ししていくことを狙った措置だ」と述べ、社債買い入れはあくまでも「セーフティ・ネット」であることを強調した。 しかし、残存期間が1年以内の格付けシングルA以上の優良な社債であれば、信用リスクはゼロで、必要な場合は、市場でいくらでも買い手を見つけることができる。
したがって、「その社債を日銀に売却できるという安心感」を日銀に作ってもらう必要はないのでFRB「ゼロ金利でもやることは沢山ある」日銀に比べて、ベン・B議長が率いる米FRBの金融政策は実に果敢である。 B議長自身が「2007年の夏の経済危機発生以降、FRBは危機に対して攻撃的に(アグレッシブに)対策を打ってきた」(国の目目寄宮邑)と述べている。

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